天才から「人はそれぞれ置かれている環境こそ違えど、悩みの「質」や「種類」には共通するものがある――つまり、人は皆それぞれの場所で、似たようなことでつまずき、葛藤しながら生きている。
そしてその“壁”にどう向き合い、どう乗り越えるかによって、その人の成長が決まるのではないか」ということを教えてもらいました。
先日、鈴木啓太さんのYouTubeチャンネルに柿谷曜一朗選手が出演されていて、とても印象的なお話をされていました。
柿谷選手は、若くして才能を開花させ、16歳でプロ契約を結ぶという“天才”でした。
実際、彼のプレーはボールタッチ、発想、すべてにおいて常人離れしており、「天才」という言葉がぴったりな選手だったと思います。
そんな彼ですが、プロ入り後まもなくして壁にぶつかり、出場機会を失い、練習への遅刻を繰り返すようになり、最終的には所属クラブを退団。
その後、別のクラブで先輩たちのプロとしての姿勢に強く感化され、心を入れ替え、見事に復活。
多くの人を魅了するプレーで活躍を続けてきた――そんなサクセスストーリーを持つ選手です。
正直に言うと、最初にこのエピソードを聞いたとき、僕は少し穿った見方をしていました。
「幼いころから敵なしの天才だったからこそ、慢心から生活が乱れてしまったのでは」と。
でも、動画の中で彼が語った言葉を聞いて、その印象は大きく変わりました。
彼はこう言っていました。
「香川真司と乾貴士が凄すぎて…」
つまり、自分よりも上手すぎる選手が目の前にいて、敵わないと感じてしまい、心が折れてしまった――そう語っていたのです。
外から見れば、香川・乾・柿谷という3人は、いずれも日本を代表するトッププレーヤー。
タイプこそ違えど、技術的にそこまで大きな差があるようには思えないかもしれません。
それでも柿谷選手自身は、明確に“差”を感じていた。
この話を聞いて、僕は思いました。
人って、いる場所やレベルの違いはあっても、悩みを感じるポイントは本質的には変わらないのかもしれない、と。
「自分より上手い人がいる」
「自分はまだまだだと感じる」
「自分には足りない」
そう思ったときに、誰しもが迷い、気持ちが折れそうになる。
彼のような“天才”でさえ、そんなことで悩むんだ。
そう思ったとき、少しだけ気が楽になりました。
結局のところ、どれだけ素質や実績があっても、自分自身の弱さにどう向き合うかがすべてなんだと。
自分の弱さに気づけるか。
そこから一歩を踏み出せるか。
反省できるか。
素直になれるか。
結局、そういうところにしか成長はないのだと思います。
そして、それは誰にとっても同じなんだ。
そう思えたことが、ちょっとした安堵につながりました。