Instagramのアカウントを運用する上で、情報を日本だけでなく海外向けにも発信したい場合があります。私のお客様も海外に向けての販売展開もしているため、一つのアカウントで日本語と外国語(英語やタイ語)を併記して投稿していました。
本文は基本的には多言語ミックスで投稿し、時には写真や動画は同じものを使い、字幕をそれぞれの言語に編集し個別に投稿する、といったこともおこなってきました。
そこから見えてきたことは、多言語ミックスはハイブリッドな方法ではあるものの、アルゴリズムの観点からみたら必ずしも効果的ではない、ということ。むしろマイナスに作用する方が大きいのではないか、ということです。
実体験をもとに多言語アカウントのメリットデメリットなど、考えられることやそれによる影響をまとめてみたいと思います。
1. アルゴリズムの視点から考えられること
- ターゲットの分散
Instagramのアルゴリズムは、投稿がどの言語圏やターゲット層に向けているかを分析し、それに基づいて適切なオーディエンスに配信しているようです。したがって、複数言語が併記されている場合、アルゴリズムがターゲットを特定しにくくなる可能性があります。その結果、投稿が一部のユーザーには適切にリーチしない場合があると考えられます。 - リーチ効率の低下
投稿内の言語が混在していると、アルゴリズムに「曖昧なコンテンツ」と認識される懸念があります。これは、特定の言語に特化している場合と比べてリーチ効率が低下する原因になるかもしれません。 - ハッシュタグの影響
英語と日本語の両方のハッシュタグを使用することで、ターゲットの範囲が広がる一方で、特定の言語圏でのエンゲージメントが希薄になる可能性があります。
2. エンゲージメントが下がる理由
- ユーザー体験の観点
1つの投稿に両言語が併記されていると、ユーザーによっては読みづらいと感じる場合があります。例えば、日本語話者が英語部分を「不要」と感じたり、逆に英語話者が日本語部分に「情報過多」を感じることがあります。結果として、投稿への集中度が下がり、エンゲージメント(いいね、コメント、シェア)が減少する可能性があります。 - オーディエンスの明確なターゲティングの欠如
投稿が両言語に対応していると、どちらの言語圏にも「自分向けではない」という印象を与える可能性があります。そのため、投稿に対する親近感が薄れ、エンゲージメントが下がる傾向があります。
3. 理想的な方法:言語ごとのアカウントを分けるべきか?
- 利点
言語ごとにアカウントを分けると、それぞれのターゲットに対して明確なメッセージを発信でき、エンゲージメント率の向上が期待できます。また、アルゴリズムにおいても特定の言語圏へのリーチが最適化されやすくなります。 - デメリット
アカウントの管理が煩雑になる点や、フォロワーが分散してしまうリスクがあります。
4. 両言語併記を選ぶ場合の工夫
もし1つの投稿に英語と日本語を併記したい場合、以下の工夫をすることでエンゲージメントの低下を防ぐことができるかもしれません。
- 視覚的な区分
各言語を明確に分け、見やすいフォーマットにする。たとえば、改行や絵文字、セパレーターを使ってスッキリと見せる。 - 優先言語を明確化
キャプションの最初の部分に、ターゲットとする主要な言語を置く(たとえば、日本語→英語の順)。 - ターゲットユーザーに合わせた内容
投稿するコンテンツがどちらの言語話者にも関連性が高いものにする。たとえば、グローバルな製品や一般的なトピックなど。 - フォロワー数が圧倒的多数になってから実施する
例えば何十・何百万人というフォロワーを抱えるアカウントであれば、アルゴリズムの認識として優良コンテンツとみなされる可能性が高く、上記に挙げたリスクを強く認識させずに運用することが可能かもしれません。
結論
日本語と日本語以外の言語を併記することは、特定のシチュエーションでは有効ですが、現状のアルゴリズムやエンゲージメントを考慮すると言語ごとにアカウントを分ける方が理想的と言えそうです。
運用面では煩雑になりますが、同一アカウントで運用して良かれと思い多言語表記した結果、外国語が原因で日本語投稿の評価も下がり、アカウント全体の評価も下がるといったことになると本末転倒になってしまいます。
アルゴリズムは一つの指標であって、それに囚われてしまうことで目的を見失ってしまう可能性がありますが、しかしながら、自身のアカウントを埋没させないためにも常に意識はしなければならない指標だと思いました。
自分の伝えたいこと、伝えたいものを一貫して持ちつつも、このようなテクニカルな部分も考えながら情報発信をしていきたいと思います。