こんにちは。
先日、新国立競技場で開催された清水エスパルス対横浜FCのサッカー観戦について、感じたことを記しておこうと思います。
今回、観戦に誘われて初めて新国立競技場に行ったのですが、5万人を超える観客の中での真剣勝負の試合は、自分にとって初めての経験でした。
特に得点シーンでは、スタジアム全体が熱狂に包まれ、興奮で記憶があいまいになるほど盛り上がりました。
J2の試合でありながら、67,000人収容のスタジアムに55,000人もの観客が集まったことには驚きました。
さらに、7〜8割がエスパルスのサポーターで、スタジアム全体がオレンジ色に染まる光景は予想外で、まさにホームの試合のような一体感がありました。
そんな試合を観ながら、なぜこれほどまでに多くのサポーターが集まるのか、その理由を考えてみたのですが、
そこには「歴史」「地域密着」「子供へのアプローチ」という3つの要因があるのではないかと感じました。
–歴史–
私は静岡県清水市で育ち、幼少期からサッカーが身近にある環境で過ごしてきました。友人たちも野球よりもサッカーを好んでいて、小学生の頃にはスポーツ少年団対抗のリーグ戦がありましたし、高校サッカーはまさに街のスターが集まる舞台でした。特に、県予選のトーナメントでは千人規模の観客が集まり、選手たちはまるでアイドルのように注目を浴びていました。
清水には50年以上にわたるサッカーの歴史があり、街のあちこちでサッカーに触れる機会が自然に育まれていました。市内のほとんどの小学校にナイター設備があり、夜になるとどこもサッカーの練習が行われ、さらには「ママさんサッカー」まで存在するほど、サッカーが地域に根付いていました。
–地域密着-
このようなサッカー文化がある中で、地元のチームであるエスパルスが地域と密着していったのは自然な現象だったと思います。
私が小学生の頃、街中にエスパルスのフラッグが掲げられ、ヴェルディなどスター選手が多く集まる他チームよりも圧倒的に地元のエスパルスの人気が高かったと記憶があります。特に、地元出身選手を積極的に起用していたことが、地元民のサポーター意識をさらに強めていました。
今では、街を歩けばエスパルスのステッカーを貼った車をたくさん見かけますし、選手が街にいれば誰もが気づくほどの存在感があります。
この皆んなに応援してもらえる環境を作っていたことが、”人”ではなく”チーム”にファンをつける要因になっていてこれが「選手ではなくチームにファンがつく」という、クラブとして理想的な状況を作り出しており、そのことに今回改めて気づかされました。
–子供へのアプローチ-
エスパルスは、子供たちへのアプローチにも力を入れていると感じていて、その影響は現在のファン層にも現れています。
例えば、選手やOBによる出前授業が行われたり、市内の全小学生に選手の顔写真入りの下敷きが配られたりしています。給食用のコップにもエスパルスのマスコットであるパルちゃんのイラストが描かれ、もちろん試合には小学生が無料招待されることもあります。
これらの取り組みが、未来のファンやサッカー選手を育てるために不可欠であり、こういったエンターテイメントを継続的に回す上では欠かすことのできない最も重要な取り組みだと感じています。
★歴史の重要性 ★
三浦知良さんが「日本がW杯で優勝するには”歴史”が必要」と語った記事を読んだことがありますが、彼の歴史という言葉の意味が少しわかった気がしました。
また、お笑い芸人キングコングの西野亮廣さんも「AIが唯一作り出せないものは”歴史”。この歴史こそが他者との差別化に繋がる」ということをおっしゃっており、”歴史”というファクターを改めて考えるべきだろうと感じました。
★静岡人の誇りとエスパルスのプロモーション★
最後に私の個人的な感想ですが、静岡の人たちは都会に憧れる気持ちがあるのか、「静岡には何もないよ」といった地元を卑下するきらいがあるのですが、実際は地元愛が強いという独特な感情を持っていると感じていて、今回のプロモーションは、そんな静岡人のプライドを上手にくすぐり、「みんなで静岡を誇ろう、そして国立に集まろう」というメッセージが見事にハマったのではないかと感じました。
メインビジュアルのコピーからも、そうした意図を感じました。
このイベントが年に一度の祭りのような存在となり、首都圏の静岡人たちが集まるきっかけとして定着すれば、エスパルスにとっても、静岡の人々にとっても、新たなステップに繋がるのではないかと思います。
